あとがき

ライター・編集者 長瀬千雅のブログです

我々はどこから来たのか、我々はどこへ行くのか

Yahoo!ニュース オリジナル 特集でこちらの記事を担当しました。

「もしも私があなただったら」をエンタメで体感させたい――なぜ、新海誠監督は東日本大震災を描いたのか #知り続ける(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)

最新作「すずめの戸締まり」を受けて、3.11関連の記事として企画しました。聞き手を文芸評論家の藤田直哉さんに務めていただきました。

私は、小さいときからものすごく「死ぬのが怖い」人で、今はちょうど親が高齢になってきて、毎日毎日大事な人が死ぬ恐怖を抱えているので、「すずめの戸締まり」を見たときは、刺さりすぎてちょっと嫌いになるぐらい。災害とエンタメの関係についてはぜひ本文を読んでいただきたいのですが、アニメーションでここまで直接的に「我々はどこから来たのか、我々はどこへ行くのか」を描こうとした作品はほかにないのではないかと思うし、往々にして論争を引き起こすのは、それを描こうとしている作品だからなんだなあと、自分の中では合点がいった取材になりました。死を描こうとすれば、必然的に祈りや願い、つまり宗教的な儀式や信仰、民間伝承といったものにつながっていくと思います。そしてそういった営みの表象は、一見するとユニバーサルな価値観と相性が悪いわけですが、でも「我々はどこから来たのか、我々はどこへ行くのか」を、現代の日本で描こうとすれば、土着的でスピリチュアルな何かになってしまうのだろうな、というのが、「死ぬのが怖い」私が感じたことです。